2012.11.09
「すずかぜ」と読んでも「りょうふう」と読んでも意味は同じですが、俳句ではとくに夏の終わり頃に吹く涼しい風をさすようです。
それにしても季語の中には、月涼し、鐘涼し、露涼し、水涼し、影涼し、燈涼し......。涼しさは、五感で感じるものだったのですね。
「涼風や力一ぱいきりぎりす」 小林一茶
*季刊SORA2012秋号掲載
2012.10.22
日傘のことを、「涼み傘」ともいいました。日傘をさした時にできる陰。その中にささやかな涼しさを感じられるほど、昔の人は、繊細な感性を持っていたのでしょう。
樹木の陰などで涼むことは「下涼み」。ほかにも、橋涼み、磯涼み、浜涼み、土手涼み、川涼み、屋根涼み......。いろいろな場所で、涼んでいる人の姿が見られたようですね。
「左右の山暮れて相似る橋涼み」 富安風生
*季刊SORA2012秋号掲載
2012.10.05
一年の中で、ほかの花にさきがけて咲く梅は「花の兄」、一番遅れて咲く菊は「弟草」と呼ばれました。
菊は、ほかにもたくさんの異名を持っています。花の咲く時期から「長月草」「秋蘂の花」。漢詩の一節から「隠君子」。花期が長く長寿の象徴でもあることから「齢草」。ほかにも「残り草」「契り草」「乙女花」「九重草」......。多くの人に愛されてきたことがうかがえます。
*季刊SORA2012秋号掲載
2012.09.25
草木が萌え出るときの、黄色がかった緑色を「萌黄」といいます。平安時代からある伝統色で、古典にもしばしば登場します。「萌木」「萌葱」とも書きますが、「萌葱」の方は後世になってからの表記だそうです。萌え出たばかりの葱の色という意味で、萌黄色より濃い緑をさしました。
萌黄色をはじめ、春の色をまとった山の美しさにはうっとりとしてしまいます。
「絵巻物拡げゆく如春の山」 星野立子
2012.09.25
草木が萌え出るときの、黄色がかった緑色を「萌黄」といいます。平安時代からある伝統色で、古典にもしばしば登場します。「萌木」「萌葱」とも書きますが、「萌葱」の方は後世になってからの表記だそうです。萌え出たばかりの葱の色という意味で、萌黄色より濃い緑をさしました。
萌黄色をはじめ、春の色をまとった山の美しさにはうっとりとしてしまいます。
「絵巻物拡げゆく如春の山」 星野立子
2012.09.11
零れ落ちた種や、その種から育った植物を「零れ種」といいます。「蒔かぬ種は生えぬ」といいますが、蒔かない種が生えることもあるのですね。
収穫の際に零れた種だけでなく、鳥が運んできた種や、風に飛ばされてきた種も、天からの零れ種。知らない土地に根を下ろす......。動けない植物にとっては、大きなロマンでもあるのでしょう。