季節の言葉

2011.06.27

砌【みぎり】 文・山下景子

「みぎり」の語源は、水限。もともとは、水際や雨滴の落ち際をさす言葉でした。やがて、雨垂れを受けるために軒下に並べた敷き石や石畳のことも「みぎり」と呼ぶようになり、転じて、庭や境界という意味でも使われるようになります。現在では、「時」「頃」「折り」と同様に用いられますね。
 蒸暑の砌、くれぐれもお身体大切になさってください。

2011.06.20

洗車雨【せんしゃう】 文・山下景子

 洗車といっても、自動車を洗うことではありません。織り姫を乗せた牛車を、洗うように降る雨のことで、七月七日の雨という説と六日という説があります。七日の雨は、織り姫と彦星が別れを悲しむ涙雨ということから、「洒涙雨」ともいいました。旧暦七月七日は立秋の頃ですが、現代では梅雨の最中。雨になることも多いでしょう。たとえどんなお天気でも、やっぱりロマンティックな夜ですね。

2011.06.13

雨喜び【あめよろこび】 文・山下景子

 日照りが続いたときの、待ちに待った雨。それが「雨喜び」です。ほかに「喜雨」「慈雨」などともいいます。
雨のありがたさが一番実感できるときですね。
「つまだちて見るふるさとは喜雨の中」 加藤楸邨
 うれしいといえば、暑いときに涼しさをもたらす
「涼雨」も、そのひとつ。
「雷が残して行きし涼雨かな」 青木月斗 

2011.06.06

如雨露【じょうろ】 文・山下景子

 雨露の如し......。漢字であらわすと大変美しく感じられます。漢語がそのまま伝わったのかと思ったら、じつはポルトガル語に漢字を当てたのだとか。このセンスのよさには頭が下がります。昔はこんなふうに、ていねいに外来語を取り入れていたのですね。
 「雨露の恵み」「雨露の恩」という言葉もあるように、植物をうるおわせ、育てていく雨露。ささやかですが、水やりの心にも通じます。

2011.05.30

送り梅雨【おくりづゆ】 文・山下景子

 梅雨に先だって、ぐずついたお天気が続くことを、「迎え梅雨」「走り梅雨」などといいます。梅雨の前ぶれのように、数日降ってはまたやむ雨です。反対に、梅雨明けのころに降るのが「送り梅雨」。こちらは、大雨や雷雨です。
 毎年やってくる梅雨に対して、送り迎えの意識が生まれたのかもしれません。そうそう、せっかく送り出したのに、また「戻り梅雨」「返り梅雨」となることもありますね。

2011.05.23

青梅雨【あおつゆ】 文・山下景子

 新緑に降りそそぐ梅雨を、「青梅雨」といいます。同じ梅雨でも、こう呼ぶとさわやかに感じられますね。たしかに梅雨の時期、濡れた青葉のいきいきとしていること! 私たちも元気に過ごしたいものです。
「青梅雨の朝あさと戸けなげに繰られたり」 永井東門居

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