2013.11.11
雁の涙【かりのなみだ】 文・山下景子
露には、「雁の涙」という異称もあります。露がたくさんおりる秋は、ちょうど雁が渡ってくる季節。悲しげに鳴く雁の涙にたとえたというわけです。 「鳴きわたる雁の涙や落ちつらんもの思ふやどの萩の上の露」 詠み人しらず『古今和歌集』 それにしても、かつては、日本中、どこへでも渡ってきたという雁。今では一部の地域へしか、来なくなってしまいました。涙だけは、落ちているのですが......。
*季刊SORA2013秋号掲載