2013.03.13
「つ」は「の」という意味の助詞ですから、「野の鳥」。特に、雉(きじ)をさすときに用いられます。
古くは「きぎす」といいました。「焼け野の雉(きぎす)、夜の鶴」といって、雉は、野が焼かれても、我が身の危険をかえりみずに巣を守るそうです。
凍(い)てつく夜も翼で雛(ひな)を懸命にあたためる鶴とともに、親子の情愛が深い鳥とされます。高らかに雌を呼ぶ鳴き声から、「妻恋鳥(つまごいどり)」とも呼ばれる雉。野で豊かな愛情をはぐくんでいるのでしょうね。
*季刊SORA2013春号掲載