2013.03.05
野焼き【のやき】 文・山下景子
春先に、野の枯れ草を焼くことを「野焼き」といいます。害虫を駆除し、その灰が肥料となって、草の発育がよくなるそうです。その歴史は縄文時代にさかのぼるとか。 「古き世の火の色うごく野焼かな」 飯田蛇笏 野原一面にひろがっていく火は「野火」。野焼きのあとの一面黒くなった野は「末黒野(すぐろの)」と呼びました。そこから萌(も)え出る緑は、まるで希望の象徴のように見えたことでしょう。
* 季刊SORA2013春号掲載