2013.01.31
霜の声【しものこえ】 文・山下景子
底知れない静寂の中にも、日本人は音を聞いたようです。冷え冷えとした夜、霜がおりるような音ともいえない音を「霜の声」と形容しました。ほかに「雪の声」や「氷の声」という言葉もあります。 それらは「音」ではなく「声」なのですね。きっと心の耳をすまして聴いていたのでしょう。大自然の息づかいを感じながら。 「灯を消せば歳月のこゑ霜の声」 古賀まり子
*季刊SORA2012冬号掲載