2012.03.19
氷面鏡【ひもかがみ】 文・山下景子
言葉を聞いただけで、氷の表面が鏡になって、風景が映っている様子が思い浮かびます。じつはこの言葉、中世の歌人の造語だとか。万葉集に出てくる「紐鏡」は、儀式などに使う鏡で、紐をつけるようになっていました。この紐に「氷面」を当てたのですね。「紐」も、「氷」も、解けるもの。ですから、どちらも、「とく」を導く 言葉として、使われます。 「枝に今とけゆく花のひもかがみ結ぶやうつる春の池水」三条西実隆