2011.12.12
忘れ音【わすれね】 文・山下景子
秋も終りに近づくにつれ、虫たちの数は減り、声も次第に細くなっていきます。すっかり静かになった夜に、ふと虫の音が聞こえてくることがありますね。季節外れのその声を、「忘れ音」といいます。 「きりぎりすわすれ音になくこたつ哉」 松尾芭蕉 時の流れとともに、置き去りにして行ったものが、その声とともによみがえるようです。