2011.11.28
父乞う虫【ちちこうむし】 文・山下景子
「蓑虫(みのむし)」は、鬼が捨てて行った子だと思われていたようです。だから、秋になると、「父よ、父よ」と鳴くのだと。そのため、「父乞う虫」とも呼ばれます。 ところが、蓑虫は鳴きません。たぶん、「鐘叩」の「チンチンチンチン」という声と間違ったのだろうということです。でも、この声を聞くと、つい蓑虫の姿を探してしまいます。 「蓑虫のなくや長ながよ夜の明けかねて」 夏目漱石