2011.11.07
月鈴子【げつれいし】 文・山下景子
鳴く虫の代表のようにいわれてきた「松虫」と「鈴虫」。 『枕草子』にも、「虫は鈴むし。ひぐらし。蝶。松虫」と書かれています。ところが当時は今と逆で、「リーン リーン」と鳴くのが松虫、「チンチロリン」のほうが鈴虫だったそうです。それにしても、都会の草むらでは、どちらも聞こえなくなってしまいました。 鈴虫には、ほかに、「月鈴子」という異称もあります。たしかに、虫籠ではなく、月の光の下で聞くのがぴったりの、澄みきった音色です。