2011.08.29
野分【のわき】 文・山下景子
野の草を分けて吹き通る強い風ということです。とくに立春から数えて二百十日目、二百二十日目ごろの台風をさします。「台風」は、英語のtyphoonに漢字を当てたもの。それに比べると、「野分」という言葉は、暴風になぎ倒されていく野の草を思いやる心遣いが感じられて、風情があります。
「野分する野辺のけしきを見みる時は心なき人あらじとぞ思ふ」 藤原季通『千載和歌集』